急速に拡大する民泊市場で、民泊運用の代行をする企業のなかには、とてもプロとは呼べないものも混じっている。民泊を経営するホストに対して行われたアンケートで、民泊代行会社16社のうち4分の1が最低ランクに評価された。民泊運用代行会社への評価が低い背景には、急拡大する市場のゆがみが見え隠れする。(リビンマガジン Biz編集部)



急増した民泊運用代行会社


全ての仕事がいい加減。特に清掃は何もしていないのかと思うほど

ゲストに対する対応が画一的で間違う


民泊に詳しい日本橋くるみ行政書士事務所(東京都・中央区)が民泊オーナーに対し実施したアンケートには辛辣な言葉が並んでいる。



清掃を行う男性 (画像=写真AC)

仕事内容についてだけでなく、民泊仲介サイトから物件を勝手に消されたり、売上の入金が行われなかったりなど、怒りの訴えもあった。民泊関係者のなかでは、レベルの低い運用代行会社に対する懸念が高まっているようだ。


そもそも民泊運用代行会社とは、民泊市場でどんな役割を担っているのか。


一般に民泊運用代行会社は物件の所有者や権利者である民泊ホスト(オーナー)に代わり、様々な業務を受け持つ会社のことを指す。業務はAirbnbに代表される民泊仲介サイトの物件掲載をはじめとして集客、宿泊者への案内、チェックアウト後の清掃まで幅広い。まさに民泊現場を取り回す専門企業である。


Airbnbが2014年から事業を始めて以来、訪日外国人の増加もあり、民泊という宿泊形態が普及した。あわせて民泊ホストも急増していく。そこで生まれたのが代行会社だ。


民泊ゲストの多くは外国人旅行者であるため、多言語での対応が必須になる。また、民泊ホストは専業ではなく投資目的のサラリーマンも多く、日中の対応が難しい。さらに深夜でも関係なく届く、ゲストからの問い合わせにも応えなければならない。とても個人で対応できる範囲を超えており、業務を一括で任せられる会社が重宝されることとなった。


民泊市場に詳しい人によると、雨後の筍のように生まれた代行会社は、すでに全国で300を超えているという。


民泊運用代行業者の主な業務

ゲストへのメール対応

清掃業務、清掃業務管理

トラブル発生時の対応

オーナーへの報告

民泊物件への集客


トラブルが頻発する背景


では、なぜ低評価の代行会社がのさばっているのか。背景には2つの要因があるようだ。


一つは代行会社には民泊ホストから発展して事業化したものが多いことだ。もともと自分の運営する物件業務の空き時間を使って事業を始めたため、運用方法のノウハウが少なく、代行する物件への対応も後回しになりがちだという。



民泊物件は2015年を契機にして急激に伸びる (画像=matsuri technologies提供

もう一つの要因は民泊市場の急拡大にある。


民泊関連のシステムやサービス開発のmatsuri technologies(マツリテクノロジーズ)吉田圭汰代表は語る。


「かつては、競合する物件が少なかったため、立地が悪く、古い物件でも簡単に集客ができました。今では、物件が増えていき全国で5万5千室以上にもなっています。そのため、売り上げの立たない、人気のない物件で、集客することが難しくなっています」


代行会社は部屋の売上から一定の手数料をもらうため、集客ができなければ手残りも減る。その結果、清掃や対応などに費用がかけられなくなり、対応が悪くなるというわけだ。


民泊運用代行会社の選び方

では、これから民泊を始めるホストや不動産会社が、良い代行会社を見極めるためのポイントはあるのだろうか。


民泊事情に詳しい専門家によると、集客やゲストへの対応、部屋の清掃などをなるべく自社で行っている会社が安心できる代行会社の目安だという。また、民泊黎明期から事業をしている、息の長い会社はそれだけノウハウが蓄積されており、評価が高くなる傾向があるという。


ある民泊代行会社の代表は語る。


「これからも民泊ビジネスは成長すると思う。しかし、体制の整ってない、ずさんな企業は淘汰されていくはずです。代行会社も数年後に、何社が残っているのか…」


民泊市場には大きなビジネスチャンスがある。不動産会社の中には、管理物件の有効活用などで民泊を検討しているケースも多い。まずは、玉石混交のなかから、堅実な代行会社を選ぶことが必須のようだ。

民泊運用代行会社の選び方

管理から清掃に至るまで自社で運用している会社
・民泊黎明期から事業を行っている会社

アンケートを行った日本橋くるみ行政書士事務所によると、口コミ・アンケートを参考にしながら、実際に会って業者選定することが重要という。

 
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