みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。

「相続相談の現場から」として、相談に来られたお客様の事例をご紹介いたします。

今回は40代・女性のTさんが、父親の相続手続きのことで相談に来られました。

◇父親の財産は1億円、相続人3人

Aさん(40代・女性)は、昨年11月に80代の父親を亡くし、母親と姉の3人で相続の手続きをすることになりました。

父親の財産は自宅とアパートと預金で、負債はありません。

父親は80歳になるまでは自営業を営んでおり、毎年の会社の決算や確定申告は

ずっと同じ税理士に任せてきましたので、相続税の申告も依頼したのです。

父親の財産は自宅とアパートと預金で、約1億円と試算されました。

父親は元気で家で生活をしていましたが、突然倒れて、亡くなってしまったのです。

相続はまだ先のことかと、遺言などはありませんでした。

そのため、3人で遺産分割協議をして財産の分け方を決めないといけません。


◇母親にも財産があった

ところが、母親も自営業をずっと一緒に切り盛りしてきて、アパートの建物を共有

して家賃収入も得てきましたので、父親と同じくらいの預金があるというのです。

さらに父親の生命保険を受け取りますので、預金は父親以上の額になり、母親の

財産だけでも相続税の基礎控除を超えていることがわかりました。

母親は70代後半ですが、二次相続のことも気になるため、どういう分け方をすれぱ

税金の負担が少なくてすむか、税理士に案を出してほしいと依頼をしました。

◇依頼した税理士から案が出てこない

2月に依頼をしているのに、3月は確定申告のは忙しいと言われ、次に5月は

法人の決算で忙しいと言われ、分割案がまったく出てきません。

その間、4回の打ち合わせはありましたが、法定割合の分割案となる申告書を

渡されただけで、説明もありません。

自宅の上には高圧線が通っていることや自宅裏の倉庫にしている離れの建物が未登記で

評価証明書に載っていないことなど、いくつか質問事項をメモし、1週間程度で回答を

もらいたいと渡しても、いまだになしのつぶてで、不信感がピークとなり、姉と二人で

セカンドオピニオンをお願いたいと来られました。


◇一般的な分割案からその場でアドバイス

質問は、即答できる内容でしたので説明しながら回答しました。

次に、二次相続までの納税額を算出してみると、今回は母親が相続するものはなしとして、保険金だけを受け取る

分割案のほうが、納税額は半分ですむことが算出できましたので、それもその場で説明をしました。

残る課題は2つの不動産の分け方と納税です。

いくつも選択肢はありますが、申告を依頼している税理士からの提案は期待できないため、

この機会に切り替える選択もあるとアドバイス。母親とも相談して結論を出すと

いうことですが、気持ちが楽になったと言って帰られたのでほっとしています。

◆相続コーディネート実務士から 

不動産の分け方と納税資金の捻出の案はコーディネーターでないと出せないでしょう。

しかし、Aさんの質問や不安は、相続の経験があれば即答、アドバイスできることばかり。

お客様を不安にさせないことも専門家の役割だと感じます。 

◆ポイント

・配偶者にも財産があると特例は比較して選択する

・質問に即答できない税理士には頼れない、セカンドオピニオンが必要

 
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