みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。

「相続実例」として、遺言を作成されたお客様の事例をご紹介いたします。 

今回は子供がない先妻の子と後妻の子がいるNさんの事例です。 

◆相続人関係図

推定相続人 長女 40代(後妻の子)、長女50代、二女50代(先妻の子) 

遺言作成者 父 Nさん 80代 

◆家族と相続の状況〈後妻との子と同居、面倒を見てもらっている。〉 

Nさんは先妻との間に二人の娘に恵まれましたが、子供たちが幼い頃、病死してしまいました。 

その後、再婚したのちにも、娘に恵まれました。娘は3人とも嫁ぎ、家を離れていましたが、 

4年前に後妻が体調を崩したころから、娘の真由美が実家に戻って介護してくれるようになりました。 

その後、後妻は亡くなってしまいましたが、娘が離婚し、孫を連れてN姓にもどってくれたため、 

Nさんは頼りにするようになりました。 

Nさんに取っては3人とも娘は平等にしてきたと思っていましたが、先妻の子の二人からは後妻の子をかわいがってきたという発言があり、娘だけになるともめないかと不安に思いはじめました。 

◆遺言を作る理由〈面倒を見てもらった後妻の子に少し多めに財産を残してあげたい〉 

Nさんの財産は自宅と隣接するアパート、預貯金です。  

3人の娘には財産も等分で残したい気持ちはありますが、  

同居して妻亡き後も面倒を看てくれた真由美に自宅を相続させ、  

祭司継承をしてもらいたいと思っています。  

そうなると残るはアパート1棟しかないため、 

先妻の子二人にはそれを2分の1ずつ相続させるようにすれば遺留分に抵触することはありません。 

自宅よりも少なくなりますが、それで遜色はないと考えました。

計算してもらうと小規模宅地等の特例を生かすと相続税はかからないため、

預貯金も家を継承する長女(後妻の子)に相続させるようにしました。

◆遺言書がないと困ること

・先妻の子を含め等分に相続権が発生してしまう 

・相続させる財産を特定しておかないと、後妻の子に自宅を確実に残せない可能性がある 

・遺産分割協議が必要となり、感情的な対立を招きかねない 

◆ワンポイントアドバイス 

・相続させる財産を明確にしておくと後妻の子に確実にご自宅を残すことが出来る 

・先妻の子には遺留分に配慮し財産を指定することで遺留分減殺請求を未然に防ぐ 

・当人同士の遺産分割協議では、感情的な対立を生んでしまうので要注意

【遺言書を作るときに配慮したいこと】

◇財産のことだけでなく、感謝や気持ちも残す・・・意思を残すことは最良の説得材料で価値がある

◇公平な遺産分割にならないときは理由を明記する・・付言事項を活用し理由や意思を書いておく 

◇遺産分割は公平にするのが無難・・・遺留分には配慮しておく 

◇こっそり作らない・・・相続人に知らせておくことが大切 

◆遺言書の必要度カウンセリング1つでも該当すれば遺言書が必要です

◇遺言を残した方がよいケース

①自分の境遇 【独身・配偶者・子供なし】【離婚・再婚】【異父母兄弟】

〈再婚、認知〉先妻、先夫の子供と後妻、後夫の子供、認知した子供等がある場合

〈相続人がいない〉独身で子供がなく、親も兄弟姉妹もいない場合 

〈子がいない〉結婚しているが子供がなく、配偶者と親か兄弟姉妹が相続人になる場合 

〈配偶者が他界〉配偶者がすでに他界し、子供が相続人になる場合 

〈独   身〉独身で子供もなく、親か兄弟姉妹が相続人になる場合 

②家族関係 【疎遠・不仲】【同居・介護】【内縁・認知】【行方不明】【海外在住】【代襲人】

〈不   仲〉家族間ですでに争いを抱えていたり、疎遠、対立している場合

〈同   居〉相続人が複数同居している場合

〈介   護〉介護をしている、介護を受けている場合

〈内   縁〉内縁関係の夫、または妻がいる場合

〈行方不明〉相続人が行方不明で遺産分割協議ができない場合

〈海外在住〉海外在住で手続きが複雑になる場合

〈代襲相続人〉子供や兄弟姉妹が先に亡くなり、代襲相続人がいる場合

③財産の内容 【不動産】【使用貸借】【共有】【会社・家業】【贈与

〈不動産〉 財産の中に不動産があり、分けにくい場合 

〈使用貸借〉無償で借り受けて住んでいる相続人がいる場合

〈共有名義〉不動産の共有名義に相続させたい場合 

〈会社経営〉同族会社や家業があり、継承したい場合 

〈生前贈与〉贈与をした財産があり、明確にしておきたい場合

④特別な思い 【分割】【寄与】【争い回避】【跡継ぎ】【援助】【遺贈】【寄付】

〈遺産分割〉特定の相続人に多く分けたい、または分けたくない場合

〈寄   与〉老後や介護や事業に貢献してくれた相続人がいる場合

〈争い回避〉家族で争わないよう分割を指定したい場合

〈跡継ぎ〉 家を継承してくれる人に多く残したい場合

〈援   助〉援助が必要な相続人に財産を多く遺したい場合

〈遺贈〉相続権のない孫や嫁、兄弟姉妹など相続人以外に財産を渡したい場合

〈寄付〉お寺、教会等、希望する団体、法人に寄付する場合

 

 

 
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