みなさま、こんにちは。相続コーディネート実務士の曽根惠子です。
「相続相談の現場から」として、相談に来られたお客様の事例をご紹介いたします。
今回は60代のBさんご夫婦が、相続だけでなく、お墓の問題で相談に来られました。
○土地が姉と共有になっている
Bさん(60代)は夫と離婚後、一人息子と実家に戻り、両親と同居してきました。
父親が先に亡くなり、その後、母親も亡くなり、それから10年が経ちます。
Bさんは60代後半になり、そろそろ自分の相続のことも考えておきたいと息子とふたりで相談に来られました。
Bさんの財産は、賃貸併用住宅である不動産と預金などですが、
建築費の借入も残っていて、現在では相続税の基礎控除の範囲内となっています。
ところが、土地はBさんの姉と2分の1ずつの共有になっているのです。
節税対策はできているのですが、この共有が課題と言えます。
○司法書士が共有を勧めた
Bさんは母親が亡くなったときに、不動産を相続しましたが、
もとは亡くなった父親の相続税の節税対策として3億5千万円をかけて4階建て、
20世帯の賃貸住宅と合わせて自宅にしたものでした。
土地が150坪あり、そのままでは相続税がかかると言われていたため、土地活用の効果で、
父親のときも、母親のときも、相続税はかかりませんでした。
Bさんには姉がいますが、離れた土地に嫁いでいるため、両親のことはBさんがほぼ、ひとりで面倒を見てきました。
姉も、Bさんに任せてきたことで
感謝していると、自宅不動産はBさんがそのまま住み続けることに何ら異論はありませんでした。
ところが、相続手続きをしてくれた司法書士は、財産を半分ずつするのが一般的ということで、
土地に姉の名義を入れる事を勧められ、そのまま、土地は共有で登記されました。
合わせて、姉との間にで、土地はBさんが住み続けて、
いずれ、Bさんが姉から買い取るようにするという合意書も交わしてあります。
○あとから分けると税金がかかる
姉は地代を請求するわけでもなく、買い取りの価格を言ってくることもなく、
共有名義にしてから、すでに10年が経ってしまったということです。
土地の評価をすると、姉の持ち分評価は約8000万円あります。
売買するなら1500万円ほど譲渡税がかかり、贈与なら4000万円程贈与税がかかります。
さらに取得するBさんには不動産取得税もかかります。
いずれも、それぞれに相当な税金の負担があるため、負担のない方法を選択されたほうがよいことも説明しました。
○「遺贈」「贈与」の組み合わせプランが必要
税金の負担が少ない「遺贈」や「贈与」を組み合わせて、手元に残る現金を
なるべく多くするようなプランを作ることを提案しました。
この共有解消に必要な資金計画ができあがらないと、Bさんの相続プランも
できないため、もう、先延ばしにしなほうがいいとお勧めしましたところ、
早急に姉の気持ちを確認して、連絡すると帰られました。
姉妹のうちは円満でも、どのように状況が変わるかわかりません。
関係が円満なうちに、明確にしておかないと、売らないと分けられないなどの事態になるかもしれません。
相続のとき、こちらがサポートしたのであれば、土地はBさんひとりの名義にし、
その代わり、代償金を分割払いするはず。そうすれば、税金の負担はなく、現金を渡せたので、残念に思います。
◆相続コーディネート実務士から
将来を考えた分割にするのであれば、姉と共有名義にすることは避けるのが賢明なはずで、
手続きをサポートした専門家の配慮が欲しかったところです。サポートする専門家の責任も大きいと感じます。
◆ポイント
相続では、「とりあえず共有」はしないこと
共有名義を解消するには余分な税金がかかる
■メッセージ■
㈱夢相続、相続コーディネート実務士の曽根惠子です。
私は30年前に不動産コンサルティング会社を創業し、相続の取り組みも始めました。
今までに1万3000人以上の方から相続相談を受けてアドバイスし、実務のサポートもしております。
相続のご相談はおひとりおひとり違いますので、本当にさまざま。
「オーダーメード相続」をサポートしております。