2017年4月より放送開始されている昼の帯ドラマ「やすらぎの郷(テレビ朝日系列)」。
大御所倉本聰脚本のもと、シルバー向けドラマとして話題を呼んでいる。
妻に先立たれた往年の名脚本家の菊村栄(石坂浩二)がテレビ業界に功績を残したテレビ人のみが入ることができる
老人ホーム「やすらぎの郷La Strada」に出会うところから物語がはじまる。
そこで再会するのはかつて一世を風靡した役者や業界仲間たちばかり。
人生の最晩年を迎えながらも過去の栄光が忘れられない住人のわがままや老いらくの恋に振り回される主人公。
老いというシリアスなテーマ扱いながら、どこかコミカルで魅力的な登場人物があふれるドラマのトーンは倉本脚本の真骨頂だろう。




ドラマの舞台となる「やすらぎの郷La Strada」は小さな入り江を見下ろす、緑豊かな老人ホームだ。
劇中で語られるように、東京から車で1時間半ほどの立地にありながら、東京ドーム30個分の敷地面積を持つという。
食堂や24時間体制の病室棟があるうえに、麻雀・囲碁・将棋・ビリヤードができる遊戯場も備えている。
さらに温泉・エステルーム・ジムも完備されている。
至れり尽くせりの豪華施設なのだが、一部の有料サービス(バーなど)を除き、これらすべてが無料というのが驚きだ。

無料で利用できる理由はまだ明らかにされていない。
大手プロダクションの創始者が事務所を解散する際に得た私財を投じて作られた、という設定である。
徐々に謎も明らかになるのではないだろうか。

現実に「やすらぎの郷La Strada」があったなら、入居費用や月額費用はいったいいくらになるのだろうか。
一般社団法人全国老人ホーム紹介機構 代表理事 真山英二氏に予想してもらった。
(リビンマガジンBiz編集部)

専門家に聞く 「雰囲気がかなり似ている老人ホームがあります」

さすがに、広さが東京ドーム30個分というとなかなか現実的ではないのが実情です。
ただ、エントランスは豪華ホテルのようで、食堂や24時間体制の介護棟があり、
さまざまな遊戯施設も整っている、そんな老人ホームはいくつかあります。

中でも、ドラマにでてくるような重厚で落ち着いた雰囲気がかなり似ている老人ホームがあります。
株式会社ハーフ・センチュリー・モアが運営する「サンシティ吉祥寺」です。

敷地面積こそ、11,000㎡と東京ドーム約2.3個分程度ですが、エントランスやロビーの雰囲気、
アトリエやビリヤード場、プール、フィットネスジム、シアターまで各種揃った遊戯施設。
一流ホテル以上の対応をしてくれる館内スタッフ。レストランはまさに3つ星レストランに匹敵するほどの味で、
老人ホームと言う概念を覆すものとして、老人ホーム関係者の間でも大きな話題を呼びました。

住んでいる人はテレビスターばかり、とは言いませんが、
やはりこのクラスの老人ホームとなると、住んでいる人の属性も超一流です。
茶道や華道の師範だった方や、文化人、著名人も数多く暮らし、自宅とは別のセカンドハウスとして活用されている方もいらっしゃいます。

もちろん、終の棲家としての役割をもつので、介護・医療体制も充実しています。
常時介護が必要になれば、看護師やケアスタッフが24時間常駐する「ロイヤルケア」に移り、
直接処遇職員(介護士・生活指導員:編集部注)2名以上という手厚い介護をうけることが可能です。

ビリヤード施設などがある点など、「やすらぎの郷La Strada」とそっくりです。
脚本家の倉本聰さんもドラマ制作前に、老人ホームを訪れたと語っていらっしゃいます。
もしかしたら、この物件も見られたのかもしれません。

さて、気になるサンシティ吉祥寺のお値段です。

平成28年4月1日を基準日とし、サンシティ吉祥寺の有料老人ホーム重要事項説明書によると、
一人入居の場合、一番安いタイプのプランで前払金3,540万円、月額利用料20万4,120円となっています。
この金額には1か月分の食費8万1,000円が含まれています。

それ以外に別途かかるものとしては、光熱費(実費)、介護費用・医療費などでしょうか。

逆に一人入居の一番高いタイプのプランでは前払金1億1,220万円、月額費用は同じく20万4,120円。

日本で最高の施設といわれているように、お値段も日本最高峰です。

ちなみに、サンシティシリーズは、有料老人ホームでありながら入居時の要件が「自立」になっています。
元気なうちから、老人ホームに入居して、シニアライフを存分に楽しむ、そんな方々が集まっている老人ホームです。

一般的な介護付有料老人ホームは、基本的に要介護認定を受けている方が前提となることが多いので、
ちょっとドラマのようなにぎやかな生活が送れる感じにはならないと思います。

ちなみに、有料老人ホームの価格は、やはり都内になればなるほど高く、地方に行けばいくほど安くなるのが実情です。
ピンからキリまである老人ホームですが、やすらぎの郷に関しては、間違いなくピンの部類に入り、その生活は羨ましい限りです。

真山英二(さのやま えいじ)

株式会社ハッピーハウス 代表取締役社長

一般社団法人全国老人ホーム紹介機構 代表理事

2014年に高齢者の暮らしを総合的にサポートするインフラとして、全国の有料老人ホーム仲介、

マネープランの提案を行う一般社団法人全国老人ホーム紹介機構(JRS)を

設立し、理事長を務める。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ