こんにちは。今年も残すところ1ヶ月を切りましたね。

昨日(12月1日)、テレビ東京で第49回日本作詩大賞2016が放送されました。この賞は作詩家が賞を受賞する点で他の音楽賞とは大きく異なります。演歌・歌謡曲好きの私としてはとても楽しみな番組です。

ノミネート作品が歌われる中、ある詩にとても惹かれました。

その詩とは今回大賞を受賞した「空蝉(うつせみ)の家」(作詩:田久保真見/歌唱:堀内孝雄)。

堀内孝雄さんご自身が社会性のあるテーマの歌を歌いたいというリクエストを作詞家さんにしたそうです。

演歌や歌謡曲といえば慕情や旅情が真っ先に頭に浮かびますが、「社会性」という言葉に最初は??となりました。

しかし、堀内孝雄さんの切ない歌声に乗って流れてきた歌詞を耳にした途端、頭の中に詩の情景が思い浮かびました。

“ある暑い夏の日、誰も住まなくなった田舎の実家を処分するため都会で暮らす子が久々に帰省する。玄関を開け部屋の畳に座り昔の活気あった生活を思い出す。両親と過ごした明るく楽しい日々も今ではもう過去のもの。誰もいない今の家は蝉の抜け殻のようにただ寂しく佇むだけ。思い出の詰まった家を売る。そう決意はしたものの、やはり寂しさとやるせなさの想いが交差する・・・”

実は、この詩は最近非常に問題となっている空き家問題そのものなのです!

そもそも空き家というのは1年間居住の事実がなく、電気・水道・ガスの使用がなく、所有者の主張がないなどの状況を総合的に勘案して決められるのですが、現在、空き家が急増しています。

総務省統計局の「平成25年住宅・土地統計調査特別集計(5年ごとの調査)」では、平成25年時点で既に空き家の数が820万戸で空き家率が13.5%となっており、更に上昇を続けています。

空き家の問題点としては、①周辺住民への悪影響(災害時の倒壊や雑草・悪臭、景観の悪化)②犯罪の増加(放火物の対象になりやすい)③住宅地利用の非効率化などが挙げられます。

また、地方のみならず都市圏でも問題視されており、自治体的に空き家が増加すると新しい住民が引っ越して来なくなり、その結果税収が減り財政が破綻すると言われています。(ある研究結果によると、空き家率が30%を超えると自治体の財政は破綻するとのことです。)

じゃあ、空き家をすぐに取り壊せばいいんじゃない?という意見もあるかと思いますが、空き家もれっきとした個人の所有物であり財産なので、当然本人の同意が必要となります。また、相続の場合、仮に建物を共同相続してしまうと、相続人全員の同意を得なければ解体・売却することもできません。このような事情から一筋縄ではいかない事情があります。

しかしながら、空き家の問題は既に個人・一自治体の問題ではなく国を挙げての大きな問題となっているため、早急に対応すべきだと思います。

歌を聴き郷愁に浸りながらも空き家問題について自分に何ができるのか、を問いかけたそんな夜でした。

 
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空蝉の家
2016年12月02日

空蝉の家

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