2017年03月29日
髙原 誠

分割できない不動産をどう相続する? 代償分割の注意点 ―遺産分割の4つの方法・その4

髙原 誠

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代償分割とは


複数回に分けて遺産分割の4つの方法を取り上げてきましたが、今回は最後のひとつ「代償分割」についてお話しします。代償分割は、例えば財産の中で唯一の不動産である実家を長男が引き継ぐ場合など、不動産を特定の相続人が取得するときによく使われる分割方法です。


<代償分割(代物分割)>
「代償分割(代物分割)」とは、相続人のうち特定の誰かが遺産の全部もしくは大部分を相続する代わりに、他の相続人に金銭(代償金)や自分の所有する別の財産を渡す方法です。


 


不動産の相続では、売るわけにもいかず、物理的に分割(分筆して相続)することも難しい場面がよくあります。そのような、例えば親と同居していた長男が実家を引き継ぐ場合や、親が事業等をしていて、その後継者となる相続人が事業用の不動産を引き継ぐ場合などに役立つ分割方法です。また、自社株の大部分を後継者が引き継ぎたい場合なども同様です。


他の相続人に渡す代償金は、多くは、特定の財産を相続する人が、その人自身の財産から調達することになります。したがって代償分割では、不動産等を受け継ぐ人に代償金を支払う経済的余力があるかどうかが重要になってきます。



代償金対策として取れる方法は?


親がまだ存命で、将来代償分割することになりそうだとわかっているならば、あらかじめ対策を練っておくとスムーズです。例えば、代償金を払う立場の人を受取人とし、生命保険金を遺しておくのも一案です。生命保険金は原則として受取人固有の財産とされるため、遺産分割の対象からは外れます。


例えば、相続人が長男と次男の2人で、長男が財産の大部分を占める実家を受け継ぐ場合を考えてみます。対策としては、契約者を「親」、被保険者を「親」、保険金受取人を「長男」にした生命保険に加入します。このとき、受取人は代償金を「もらう人(次男)」ではなく、「支払う人(長男)」にしておくのがポイントです。保険金は遺産分割の対象外ですので、次男を受取人にしてしまうと、次男は保険金を受け取ってなお、自分の相続分を主張することができてしまうからです。


また、代償分割を利用する場合は、遺産分割協議書に必ず「代償金として○○に△△(金額等)を支払う」旨を記載します。これを記載しないで金銭等を渡すと、通常の贈与とみなされ贈与税が課せられてしまいます。親が遺言で代償分割を指定する場合も同様です。


また、現金で代償金を支払う代わりに土地などを渡した場合(「代物分割」を行った場合)には、譲渡所得税が課せられる可能性があるので注意が必要です。



より納得できる遺産分割のために

前回の「換価分割」のお話で、財産を売却してお金を平等に分けたとしても、譲渡所得税の特別控除が使える相続人と使えない相続人で受取額に差が出てしまう問題を指摘しました。


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例えば、親が亡くなって親と当該不動産に同居していた長男と、別居していた次男が換価分割を行うとします。それぞれの取得割合を2分の1ずつとして、その物件が3,000万円で売却できたとすると、それぞれが手にするのは1,500万円ですが、当該不動産に同居していた長男には3,000万円までの「居住用財産の譲渡所得の特別控除」枠があるため税金がかからず、いくら生まれ育った家であっても、すでに別に居住を構えている次男には最大20.315%の譲渡税が課せられるのです。

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このような譲渡所得税の問題も、不動産を「居住用財産の特別控除」が利用できる長男が取得し、売却した代金から、事前に話し合い遺産分割協議書に記載しておいた金額の代償金を支払うことで、より納得感のある分割が可能となります。ただし、税務署が換価分割と認定するリスクがありますので、あらかじめ専門家に相談した上で実行することをおすすめします。



以上、4つの分割方法についてお話ししました。それぞれにメリット・デメリットがありますので、相続人ごとの財産状況、家族関係、居住環境等により、どの分割方法を選択するのが賢明なのか調整が必要となってきます。


多くの方が一生に一度か二度しか経験しない相続です。「簡単だから……」「とりあえず……」と深く考えずに決めてしまうと、後々思わぬ税金が課せられたり、トラブルになったりする可能性が高い遺産分割。信頼できる専門家に相談しつつ、それぞれにかかるコストやデメリットをきちんと把握し、慎重に判断するようにしましょう。

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