田舎にある土地家屋を相続したけど、そこに住む予定もつもりもない。でも所有している間は、固定資産を払い続けなくてはなりません。ならば売ってしまえと考える前に、知っておくべきことがあります。

土地には様々な法的規制があり、都会と違って田舎ならではの人間関係や風習もあります。その反面、都会にはない魅力があるので、一概に田舎だから売りにくいということはありません。ということで、今回は田舎の土地家屋を売る際に注意すべき点と、田舎ゆえのセールスポイントについて検証してみましょう。

市街化調整区域と市街化地域

市街化調整区域とは、都市計画法で開発を制限されている地域のことです。この地域では、新規の建築や増築が制限されています。

もし相続した土地が市街化調整区域に指定されていれば、新築や増築ができない可能性があるのです。一定の条件を満たしていれば可能ですが、それらの条件は自治体によって異なるので事前に確認しておく必要があります。

市街化区域であれば新築や増築は可能ですが、その場合は用途地域で建てられる条件が指定されているので地域を管轄する役所で確認しておいてください。もし商業施設など住宅以外の建物の建設が許可されていれば、売却する際にマーケットが広がります。

何もない田舎だからこそ、コンビニや飲食店が歓迎されることもあります。それに田舎は車社会ですから、都会のように徒歩圏内でなくても需要が見込める利点があるのです。

田舎ならではの人間関係や風習

田舎は都会と違って個々の生活に深く根ざした村社会の気風が今もなお残り、良くも悪くも密度の濃い人間関係が特徴です。

田舎では少なからず本家と分家という家制度の風習が残っていて、それによる親戚関係の上下関係が少なからずあります。分家だった場合、事前に本家にお伺いを立てておかないと後でトラブルになることがあるのです。

もし売却を考えているなら、近隣にいる親戚に筋を通しておくことに越したことはありません。買主が見つかってから、本家や他の親戚に反対されたら厄介ですからね。

田舎ならではの魅力と利点

田舎ならではの地域コミュニティや親戚間の複雑な立ち位置は、都会暮らしが長い人にはピンと来ないかもしれません。田舎の利点と弊害は背中合わせで、考え方、受け取り方次第でメリットにもデメリットにもなります。

都会のドライな人間関係に慣れている人には煩わしく思えて、田舎に移り住む際の障害になるかもしれません。しかし一方で密度の濃い人間関係に温もりを感じる人にとっては、田舎に残る昔ながらのコミュニティは魅力的なのです。

近年、田舎に残された自然環境や日本の原風景、都会では失われた温もりのある人間関係に憧れを持つ人が増えています。売主のあなたが田舎暮らしに興味はなくても、田舎に憧れて移住したいと考えている人は少なくないのです。

田舎の古い家屋はデメリットに見えますが、田舎暮らしに憧れる人にとっては魅力的に映るのです。なので、都会風の一戸建てより古屋の方が売りやすいということもあります。地元の人々にとっても、田舎の良さを分かってくれる人間は受け入れやすいのです。

大切なのは田舎に対する固定観念にとらわれず、事前に田舎の地域事情を知っておくことです。その上で、田舎の利点を活かした売却方法や売り先を検討することをお勧めします。

 
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