3月21日、国土交通省は、2017年度の全国の公示地価を発表しました。2年連続上昇の商業地に続き、住宅地も9年ぶりに上向きました。この上昇傾向は果たして本物なのでしょうか。

住宅地の動向

住宅地の全国平均は前年比0.22%と、僅かながら上昇しました。日銀のマイナス金利政策や税制優遇(住宅借入金等の特別控除、住宅取得資金の贈与の特例)が公示地価を下支えしています。

三大都市圏の上昇に勢いなし

三大都市圏は、いまだに上昇が続くものの、上昇率は0.7%と、とても勢いがあると言えるレベルではありません。例えば東京圏では、今まで地価上昇に寄与していた23区西南部のマンションも、価格高騰が嫌気されて販売が落ち込んできています。

県内格差の拡大

同じ県内でも、地域別にみると、利便性に優れたエリアが引き続き上昇基調を維持し、そうでないエリアとの格差が拡大しています。

例えば神奈川県の住宅地は、政令指定都市の3市(横浜市・川崎市・相模原市)は相変わらず上昇基調を維持しています。

その横浜市もすべてのエリアが調子良い訳ではなく、2%を超える上昇を確保したのは、神奈川区・西区・中区に限られます。横浜駅から新橋駅までJR東海道線で20分ちょっとという利便性の高さ、みなとみらい地区を中心とした商業施設の集中、山手地区を中心としたブランド力が人気の背景です(逆に、横浜駅からも遠い磯子区・栄区は、駅から遠い分譲地などが足を引っ張り0.1%の上昇にとどまります)。

相模原は、2027年のリニア中央新幹線の開通もあり、5%を超える上昇を示した地域が点在しています。

一方で、都心からのアクセスが悪いエリアは下落基調に歯止めがかかりません。もともとは横浜・川崎工業地帯の通勤圏内という位置づけもありましたが、今では生産拠点の海外移転も大きく影を落としています。

最も下落が激しいのは、京急電鉄が分譲地開発を撤回した三浦市のマイナス5.7%、真鶴・湯河原・山北といった県西部地域が後に続きます。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ