民法には、相続人全員が公平に遺産を相続する為に必要なルールがいくつか定められています。

その中の一つが特別受益です。

特別受益とは、生前の被相続人から受けた贈与や寄贈のこと

親御さんが亡くなった際には残った子供達で遺産が分割されます。

この時、子供達の中に特別な扱いを受けたことのある人がいた場合、均等に遺産を分割すると遺産分割が不公平になってしまうことがあります。

子供のうちの一人が結婚する時に新居を建ててもらった、

数年に渡る海外留学をし、その期間中に継続して学費や生活費を援助してもらっていた、

事業を始める為の資金を援助してもらった、

農業や工場経営など家業を継ぐ為に、農地や工場のある土地建物をもらった、

というようなケースは生前贈与にあたるので特別受益とされます。

特別受益を受けた子供によって受けた贈与の額が違いますので、いったんすべての特別受益を遺産に加算します。

その後均等に遺産分割し、そこから特別受益分を差し引きます。

また、法定相続人である子供たちのうち特定な誰かだけに遺産を多く相続させるという遺言があった場合、遺贈あたるので特別受益とされます。

特別受益の持戻とは、特別受益を受けた分が相続する財産から差し引かれること

特別受益受けた相続人がいた場合、そのままでは不公平になってしまいます。

その為、特別受益を受けた相続人は、特別受益に相当する額を相続財産から差し引かれます。

ただし、特別受益分を差し引くと相続する遺産がマイナスになってしまう場合、マイナス分を自分の財産から遺産に加算する必要はありません。

また、生前に贈与した資産を遺産分割の際に戻す必要はないという遺言があった場合には、持戻する必要はありません。

特別受益を受けた相続人と受けていない相続人の間で、遺産相続の際にトラブルに発展してしまうケースは少なくありません。

子供達に遺産相続のことで無駄な諍いをおこさせないようにする為には、遺言で遺産分割に対する自分の意志を伝えておくことが大切です。

 
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