配偶者を亡くした後には、配偶者から相続した遺産を子供達に分割する日がやってきます。
その日までしっかりとした判断力を維持できている保証はありません。
もしかしたら認知症を患って、判断能力を失っているかもしれません。
判断能力がない、もしあったとしても明確に相手に伝えることができないというような状況になってしまうと、自分の意志とは違う内容の遺言を作成させられたりしてしまう恐れがあります。
亡き配偶者と共に夫婦で築き上げた財産を愛する子供達ではなく、悪意ある第三者に乗っ取られてしまうようなことが起こらないとは限らないからです。
そんな不安を払拭するために、成年後見制度があります。
配偶者を亡くした後自分もある程度の年齢だと感じた時には、判断力があるうちに成年後見制度に登録しておくと安心です。
判断能力があるうちに自ら登録する成年後見制度は任意後見制度
成年後見制度には法定成年後見制度と任意後見制度があります。
法定成年後見制度は、判断能力がすでにない人に対して周囲の人が申し立てをし、家庭裁判所が選定した人が後見、補佐、補助をするという制度です。
一方任意後見制度は、現在はしっかりした判断能力がある人が将来に備えて契約を結んでおく制度です。
任意後見制度にはその他、任意後見契約後にまだ判断能力があるうちから財産管理を委任し、判断能力が衰えてきたタイミングで後見人となってもらう移行型、判断能力が衰え始めてから契約を結びすぐに後見人となってもらう即効型もあります。
どのタイプであっても、自分の意志で任意後見人を選び、将来的に自分の生活全般、財産の管理や、療養生活をすることになった時に看護などの手配を依頼する契約を結び、公正証書を作成して東京法務局に登記しておきます。
そして将来的に認知症などで判断能力が衰えてきた時点で家庭裁判所に申し立てをし、任意後見監督人を選定してもらいます。
家庭裁判所が選定した任意後見監督人は、本人の意思で選んだ任意後見人が適切に仕事をしているかということを監督する人です。
この任意後見監督人が選定された後、任意後見人が契約内容に従って、生活全般の世話の手配や財産管理などを行います。
子供達を困らせない為にも、自分自身が安心して余生を送る為にも便利な制度です。