不動産売却を不動産会社に依頼したとき、それが適正価格で販売されているのかどうか、私たちにはなかなかわからないものです。一部の不動産業者では自分のところの利益を優先させるために、安い相場で売り抜けることもあります。

適正価格で中古住宅が販売されているか、わかりやすくするために、国も様々な施策を考えています。その一つが国土交通省が横浜で試験運用している不動産総合データベースです。

不動産情報もクラウドにまとめて

■不動産の価格を決める要因は様々ある


不動産の価格は様々な要件で決められます。例えば、住宅の場合は以下の様な条件が考えられます。

1)築年数

2)住宅の設備

3)周辺の交通の利便性

4)住宅の耐震性

5)学校や病院などの公共施設・ショッピングなどの商業施設へのアクセス

他にもあるかとは思いますが、おおよそ不動産物件情報に掲載されている情報はこのくらいかと思います。

これらの情報をまとめて見られるようにしたのが、レインズです。

レインズとは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、不動産流通機構が運営しています。今のところ、会員の不動産会社同士でのでの情報交換にとどまっていますが、売主が要請すればその情報を公開してくれます。これによって、自分が売りに出している物件が適正価格で販売されているか、買い手がついている状況なのかを知る手立てが、間接的ではありますが、できたわけです。

さて、物件情報がこの情報だけで足りるかというと、実はそれだけではありません。最近は防災への意識も高まり、洪水や地震などの危険性、犯罪の起きやすい場所かどうかなど、もっと詳しい情報も不動産価値を左右するようになってきています。レインズに掲載される情報だけでは、正しい価格を判断できないようになってきているのです。

■国土交通省が進めるデータベースとは


国土交通省が進める不動産総合データーベースは、レインズに加えて、自治体等が持っているハザードマップ、道路網、公示地価などの情報を物件にリンクさせ、不動産情報をより詳しく提供できるようにするものです。これにより、レインズだけの時よりもより詳しい要因についての情報を知ることができ、適正な価格を設定できます。

現在、横浜市、大阪市、静岡市、福岡市で試験運用が始まっており、平成30年度の本格運用に向けて検討課題のあぶりだしを行っているところです。

土砂崩れなどの危険地域の情報から、住宅の修繕履歴などを網羅している情報となるため、売主に対して納得のいく不動産売却ができるようになりますし、より価値をつけるためにどこを改善すればよいのかが見えやすくなってきますので、全国運用に期待しましょう。

 
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