所有する不動産を売却するには、不動産業者に相談・依頼するのが普通です。でも、本当に適正な価格で売却してもらえたかどうか、今までは売り主が確認することはできませんでした。

レインズルールというのをしっていますか?不動産業者が預かった不動産売却についての情報は間接的に一般公開され、売却情報が確認できるようになったのです。

これにより、不動産業者は「囲い込み」という不透明な処理ができなくなり、売買状況が明確にわかるようになりました。

その家は適正価格で売り出されていますか?


■不動産業者は儲かるが売り主には不利益が

不動産業者に売却物件を依頼した場合、不動産流通標準情報システム(レインズシステム)に物件を登録しなくてはなりません。より多くの買い主に情報を提供し、公正に売買を行うためです。

ところが、不動産仲介業者(不動産業者)は基本的に「仲介手数料」で生計が成り立っているため、売り主から仲介手数料を受け取り、買い主を見つけて、そこからも仲介手数料

もらえば儲けが多くなります。そこで、レインズに登録はするが、「商談中」などと表記して、ほかの不動産業者が介入できないようにします。これが「囲い込み」です。結果的に売却依頼をした業者が買い主を見つけるまで、その物件は売れないことになります。

不動産業者は儲かりますが、売り主としては高く売れたかもしれない機会を失うリスクを負わされ、買い換えを予定していた場合、資金が足りないで購入できないといった不利益を被る場合もあります。

■業界も対策に乗り出す

そのようなことがないよう、レインズルールを改正し、「商談中」などの表記をわかりやすく統一し、書面で必要事項を明確にしたものを提出するなど、より公正に売買できるよう改善しました。

さらに、全国の不動産流通業者約13万社のほぼ100%が加入する「不動産ジャパン」のサイトを立ち上げ、今まで非公開だったレインズのデータを間接的に公開しました。

これにより、自分が売りに出している物件が適正に公開されているか確認できるようになったわけです。

ただ、この改正はデータベースの一般公開といっても間接的な公開のみで、誰でもが直接見ることができるものではありません。しかも、悪質な取引は大手の不動産会社にもあった問題で、ブランドイメージも信用できないという話になっていました。実際、不動産取引に関する法改正においても、レインズルールに関する改正は法律に書き込むことができませんでした。これには業界の反対も大きかったといわれています。

まだまだ問題の多い不動産売買に関する情報の開示ですが、今後もっと公開されていくことを期待したいところです。

■売り主にはセカンドオピニオンの必要性も

 売却したい不動産が納得できる価格かどうかの要件として、建物の状態を査定に反映されていることも重要です。 

そこで、国では、住宅診断士による建物状況検査(インスペクション)の導入を促進するため、媒介契約締結時に、売り主に対してインスペクションの意向を確認し、斡旋することを宅建業者に義務付けました。また、検査結果の情報開示、買い主が確認した情報の特定化(検査結果を書面で交付)をするように義務づけられました。

売却不動産の築年数だけでなく、リフォームによる価値の上乗せ分も正確に表せることになったわけです。

国も業界も中古住宅の流通を促進するような施策を打ち出していますが、より有利に売却するには、セカンドオピニオンとしての不動産業者への相談も考慮に入れましょう。

特に売却依頼をして1,2ヶ月経過してもほとんど連絡がない場合には、ほかの不動産業者に相談してみましょう。一度に複数業者に売却依頼することはできませんが、囲い込みなどをされていないかを確認することは可能です。もし悪質な業者に当たっていたとすれば、すぐにわかります。また、希望する売却価格が高すぎないかどうかも確認できて、より早く売却できる可能性もあります。

残念ながら自分の儲けしか考えない不動産業者はまだまだ存在するようなので、少しでもうまく売却できるよう、売り主として努力できるところはやっておきたいものです。

 
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