不動産投資の担当していると、資産家や個人事業主の方とお付き合いすることが多かったことを記憶しています。ここ2~3年、花屋さん、洋菓子店、建築業の社長から大手企業のサラリーマン資産家など、多種多彩な方と不動産投資について話をして、物件を紹介してきました。

どういったアパートや区分マンションに投資して、どのくらいの不労所得を得て、数年後どういう条件で売却を検討するといった相談を日ごろはしています。そんな中、「市内中心部に事業用の土地を持っているけど評価が高くてどうしようか」といった軽い言葉から、相続対策の話が始まります。新しく買った物件も気になるけど、以前から所有する不動産もどう処理していくかを尋ねたくなるのは、自然の流れですね。

当然、不動産投資を生業にしているものであれば、相続は避けては通れない業務と言えます。しかし、とんだ勘違いから、相続対策とはならず苦労話になった思い出を今回はお話しします。

私は、勤務先の部長の知り合いで、会社社長の親を持つ資産家の方を担当していました。その方は40代で年金だけでは不安なので、住宅ローンを借りれるうちに不動産投資物件を購入し、不労所得を得たいと希望されていました。普通の区分マンションなどは十分に個人で借りれる属性でしたが、できるだけ金利を安く、期間は長く借りたいという希望を持っていました。そこで、相続対策としてご両親に不動産をご購入してもらう形で進めることを提案したところ、「ちょうど評価の高い土地が会社の事務所になっています。そこを相続するのは大変だから」と本人も乗り気になりました。親もそれならば、相続対策しようかと物件探しを始めました。

そこで、相続対策の試算をするために所有物件を調査を開始しました。しかし、そこで意外なことがわかりました。会社の事務所の土地は、ご両親の土地ではなく、会社の土地でした。いわゆる会社名義の土地です。「これは、個人の相続には関係ないですねぇ」とお話したのですが、最初は「いやいや、親父の土地です」と納得されなかったお客様。時間をかけてお話ししてようやく理解してもらいました。

最初から自分たちの個人の所有と思っているのも仕方のないことですよね。不動産を扱う人間として、事前調査は必要だなと感じた一件でした。

 
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