今年に入って3回目のコラムになります。

東京都総合不動産コンサルタントの渡邊です。

今回は、前回も書きました心理的瑕疵の説明義務

について、続けて書きたいと思います。

今回の場合には、正確には心理的瑕疵よりは

環境的瑕疵なのか微妙なところですが、心理

的瑕疵にて書いてみますのでご容赦ください。

事例1

Aさん夫妻は、B不動産の担当者に案内されて

ある一戸建ての物件を見ました。

場所的にも、希望の範囲内で、外観もよく

価格的にも満足のいく物件なのでその場で

契約をしました。

ところが、Aさん夫妻が引っ越してきて、数日後

近所の方から、斜め向かいの4階建てのビルに

暴力団事務所が入っている。ということを聞き

頭が混乱したAさんは、B不動産に行きました。

そして、B不動産の担当者に、「斜め向かいの

4階建てのビルの1階は暴力団事務所だと近所の

方から聞いたが、契約時の重要事項説明書では、

そんな話は何もなかった。説明義務違反ではな

いか。その時に暴力団事務所が目の前にあるこ

とを知っていれば今の家は購入しなかった。」

と話しました。

B不動産の担当者も売主よりその話は聞いてい

なかったため、売主に確認して再度ご連絡する

ことでその場は終わりました。

次の日に、担当者が売主に確認したところ、売主は

「暴力団事務所ではないかという話は聞いたことが

あるが、迷惑を被ったこともないし、生活に何ら影

響もないので気にしていなかった。」と言いました。

そこで、B不動産の担当者は、念のために警察署で

調べたところ○○組の暴力団事務所であることが

確認できました。

宅建業者は、通常の生活圏内に暴力団事務所がある場合

には説明する必要があります。

通常の生活圏内というと漠然としておりますが、

暴力団事務所のような反社会的団体の場合は、

数百メートル離れていても、知っている場合には

説明する必要があります。

なお、今回のように知りえる状況になかった場合には、

あえて暴力団事務所の調査しなければならない義務は

ないので、説明義務違反にはならないようです。

なお、今回のような場合、売主に瑕疵担保責任があり

売主に対する損害賠償請求することが可能ですので

売主の方は、知っていることは媒介業者に必ず伝えて

置く必要がありますよ。

※法律的な問題は必ず弁護士にご相談ください。

 
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