<地盤をよく知ろう>第3回


地質・地盤についての紛争のあることは前回の通りですが、その良否は土地の価格に影響を与えるのでしょうか?


土地の価格を決めるのは「不動産評価基準」によることとなり、一般に公開されている地価公示の価格も

この基準に準拠して不動産鑑定士が評価をして決定していますが、地質・地盤の良否がどのように

地価に織り込まれているのでしょう。東京都内を例に見てみましょう。


≪不動産鑑定評価基準≫

不動産鑑定評価基準には「地質・地盤の状況」は土地の価格形成要因として真っ先に書いてあり、

最も重要な判定要素だということになります。


しかしながら、実情としては山の手地域は昔からの土地は地盤がしっかりしていて、

埋め立て造成地や海沿いや川沿いの地域は地盤が弱いであろうという一般的な知見の他、

液状化マップや23区内には3か所しかない宅地造成等規制区域といった法規制で

その地域の地質・地盤の状況を推測するほかはないのです。


また、これらの情報があってもそれをどうやって地価に反映させるのかについて確立された手法はありません。
 

東京都の宅地造成工事規制区域




(出所)東京都HP


≪地価公示における価格差≫


地盤の強固な土地と軟弱な土地とで地価は同じでしょうか?これを確認するため、

試に地層の形成年代の異なる地価公示ポイントを選定し比較してみました。




各ポイントは典型的な住宅地で駅からの距離もほぼ同じで都心への接近性もさほどの大差はありません。

下町と山の手という地域的な選好性はあるでしょうが、比較的同質性の高いといってよい土地です。




この中で最も古い地層が「世田谷11」で、典型的な山の手の住宅地です。

次が「練馬1」で世田谷と同じく後期更新世の地層、「江東1」は完新世の地層、「浦安13」は現代の人工的な埋め立て地です。

価格は「世田谷11」が坪当たり175万円で突出していますが、残りの3ポイントはいずれも坪当たり100万円程度です。


したがって、地価は都心までの距離や住環境という観点では敏感ですが、地盤・地質の差はあまり価格には反映されていないようです。



≪ボーリングデータの活用≫

各ポイント近辺のボーリングデータを見てみると「世田谷11」、「練馬1」は深度10mでN値50となるのに対して、「江東1」、「浦安13」は深度60mまでいかないとN値50には到達しないという大きな差があります。N値50は杭基礎を打ち込める硬さの地盤であり、湾岸地域での高層ビルは杭の長さが山の手地域とは格段に長くなり、その分建物建築費が高くなりますから、地価に影響してもいいのですが、地価公示のポイントは必ずしも高層ビルの建築を前提としたものではないため、建築費の負担による地価への影響が十分に価格には織り込まれていないと考えられます。


 

      (練馬1の近辺)          (江東1の近辺)


一般的な低層住宅を建てるのに必要なN値は表層であれば1桁でもベタ基礎にすれば大丈夫ですので、過度に神経質になることもありませんが、上図のようにN値0の地層が続くような地盤では圧密沈下(状況によっては不同沈下)が予想されますので、何らかの地盤改良を施したほうがいいでしょう。そして、その工事負担分だけ地価への負担があることになります。地質・地盤の軟弱と思われる土地を購入する場合にはこのようなことまで調べたうえ、価格が妥当かどうかを検討したほうがいいでしょう。


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年の瀬にきて、めっきり寒くなってきましたが、みなさま風邪には十分お気をつけて、新年をお迎えください。



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