「住宅ストック循環支援事業」の概要や要件について見てきました。

個々の要件は厳しい面もあるかもしれませんが、制度が3種類あるため、適用可能な方の範囲は結構広いのではないでしょうか。しかし適用範囲が広くても、使い勝手に難があると利用身口意かもしれません。

ここで最後に事業自体の使い勝手を検証してみたいと思います。

【業者の負う役割が大きい】

事業の特徴として、申請手続きを補助事業者が行うという点があります。例えばエコリフォームならば、リフォーム事業者が国に申請手続きを行うのです。

住宅所有者(利用者)に申請の手間がかからないのはいいのですが、補助金の交付も補助事業者にされることになります。

補助金の取り扱いは事業者ごとに異なり、後日住宅所有者へ還元する、もしくは工事費に充当されます。当然に工事費が差し引かれるわけではありません。

また、補助事業は事前に事務局での「事業者登録」が必要です。この登録をしていない事業者は、そもそも補助金の申請を出来ませんので、制度が利用できる業者かどうか最初にしっかり確認しておく必要があります。

【事業の全貌が見えにくい】

事業者がメインとなって申請を行うため、リフォームや建て替えを頼む側からすると、補助金が交付される流れが見にくいという面があります。工事費が補助金によって最初から差し引かれている場合、現金が見えず「お得感」も感じにくいかもしれません。

申請によってどの程度の補助金が受けられるのか把握し、家計への恩恵がいくらだったのか理解しておきたいです。

【売り主としての留意点は】

事業が適用するためには申請や工事の完了報告が必要なことは既述の通りですが、申請、完了報告には期限が定められています。早期に家が売却できれば買主側に制度を利用してもらえはいいのですが、そうでない場合は自らエコリフォームを行い補助金を受給するという方法もあります。

費用はかかりますが、売れないまま事業の期限が切れてしまうよりはメリットがあるかもしれません。状況に応じて判断したいです。

なお、申請と完了報告の期限は以下のようになります。

申請期限

・平成29年6月30日まで


事業(リフォーム工事や建設工事、住宅の引き渡し)の完了報告

・平成29年12月31日まで

原則として覚えておきたいのは上記の日程ですが、制度の延期があるかどうかも注視しておくといいでしょう。

この制度は期間が定められていますが、空き家の増加や人口減少という現況を考えると今後の中古市場は活性化が予測されます。今までの常識にとらわれることなくその時々での最善の選択をしたいです。

過去記事
「住宅ストック循環支援事業」の概要
「住宅ストック循環支援事業」の要件
 
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