2017年10月21日
よくわかる不動産売買仲介業

不動産売買仲介の歴史

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不動産業に従事している人であれば、不動産の歴史について知っておいた方がよいでしょう。不動産仲介業の始まり、そして発展したのはいつなのでしょうか。歴史を紐解いていくと、現代にも応用できる知識が身につくはずです。(リビンマガジンBiz編集部)



不動産の発祥


不動産仲介の歴史は、江戸時代までさかのぼります。当時は、江戸幕府が1643年に制定した田畑永代売買禁止令により、田畑の売買は行うことができませんでした。しかし、都市部である、城下町では違いました。江戸を例にして、城下町の不動産をみてみましょう。当時の江戸では、武家と寺社が街全体の約8割の土地を所有し、町人の持つ土地は2割ほどにしか過ぎませんでした。


武家地では、幕府から拝領した土地を相対替と呼ばれる方法で売買し、町人地では、沽券と呼ばれる土地所有の証明書を発行し、取引していました。ここでの町人は、庶民ではなく、富裕層である商人のことを指します。沽券が発行された土地は身分の異なる者でなければ自由に売買ができました。取引前には五人組と呼ばれる行政組織と、その町の名主捺印し、代金を支払ってから、売買成立となります。名主は売買記録を台帳に記入し、不正取引が行われないように、内容を町内へ公示していました。江戸時代の売買取引において口入業者と呼ばれる仲介業者が存在していたといわれています。売りに出されている土地情報を流通させ、手数料をもらっていました。これが不動産仲介で料金をとる始めといってよいでしょう。



(画像=ニューヨーク公共図書館)


明治時代と不動産“業”誕生の歴史


江戸時代では、限られた土地のみ売買が可能でしたが、明治時代に入ると、土地取引が盛んに行われるようになります。この時代に、仕事としての不動産“業”が誕生します。1872年に田畑永代売買禁止令が解除され、土地所有の自由が認められました。また、地租改正により、土地の所有者が確定され、個人資産としての価値が認められるようになります。1898年には初の民法が施行され、担保権や抵当権といった制度が整備され、近代的な取引制度が確立していきます。また、民法の制定により、移動の自由と職業選択の自由が認められ、経済発展の著しい東京へ人口集中が起こりました。東京に15区が成立した1878年には、81万人でしたが、10年後の1888年には、130万人、1908年には、217万人と増加していきます。人口が増えると必要になってくるのは住宅です。それによって、住宅の仲介を行う人が多く出現し、取引機会が増加していきます。取引機会の増加と自由化によって、不動産を専門に扱う不動産業が誕生しました。



巨大企業の出現


不動産を専門に取り扱う仲介業者が多く現れたことにより、複数の人間が集まって企業として成長する不動産業者も誕生します。1896年に大阪で万成舎が、1890年には東京で光正不動産が設立されました。さらに、現存する最古の不動産会社として名高い東京建物も1896年に設立します。東京建物は不動産のみならず金融業も兼営し、複合企業として成長していきます。


大正時代に入ると、大企業ではない中小の不動産業者が地域に根付き、老舗不動産会社として地域経済に貢献していきます。



当時の新聞記事 (画像=リビンマガジンBiz 編集部撮影)



戦後の不動産売買業者


太平洋戦争が終結すると、GHQが民間の不動産市場へ介入してきました。東京不動産業界の長老とされた桧山未喜男と高山喜作が呼び出されます。GHQは、日本の不動産売買における仲介手数料制度について変更を求めてきました。日本では、売り主、買い主の双方から手数料を取っていますが、アメリカでは不動産購入資金を支払った買い主ではなく、代金を得た売り主が双方に手数料を支払うのが一般的でした。日本もアメリカ方式に変えるべきだと注文を付けてきました。しかし、桧山、高山の両者は、日本の不動産業界に根付いた商習慣であるとして、この要請を断りました。そして、1952年に制定された宅地建物取引業法にも双方制が記載されています。不動産売買仲介業は、このような歴史があり、今日の業務に繋がっています。


宅地建物取引業法は現在の不動産業の根幹となっています。法律制定の背景には、戦後の住宅不足と人口流動によって現れた悪徳業者に起因します。


当時の新聞を探すと、悪徳不動産業者に関する記事が見受けられます。こうしたイメージから、周旋屋、や千三ツ屋などの蔑称で呼ばれていました。


当時、住宅を購入できる人は多くなかったので、賃貸仲介について悪徳業者のやり口が紹介されています。まず仲介業者は賃貸住宅を紹介し、入居者から仲介手数料をもらいます。しかし、その後に業者は入居者に難癖をつけ、すぐに部屋から追い出し、また新しい人を入居させる、こういった行為を繰り返す業者がたくさんいたそうです。地方から就職・就学で上京した人が餌食になっていました。


住宅不足の折に、このような業者がいては市民生活にも大きな影をおとします。規制を設けるべきだという世論がたかまり、やがて国会を動かし、宅地建物取引制定に至りました。このことで不動産業者は登録制となりましたが、法律施行後もしばらくは、悪徳業者の数は減りませんでした。東京で登録した業者の数は約3700名、しかし、実際には約5000名以上の業者が存在する、と当時の新聞にあります。

その後、民法改正とともに宅地建物取引業法も改正し、登録制から免許制へと変わりました。また、悪徳業者の取り締まりを強化、一斉摘発などを行い、なくなっていきました。これ以降、宅地建物取引業法に則った健全な不動産流通が行われ、現在へと続いています。



まとめ


歴史を振り返ると、不動産売買業者は、300年以上前の江戸時代から存在していました。明治時代になると、専業としての不動産業が誕生していく。その名称や取引方法は変われども、大事な資産を次の人へつなげる仕事ということには変わりはありません。

参考文献:日本不動産業史(名古屋大学出版会)、読売新聞

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