2017年10月22日
よくわかる不動産売買仲介業

不動産売買仲介に関わる法律について

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不動産・住宅企業の従事者が、日々の仕事で触れている「法律」。いったいどういった目的で、どのように作られたかをご存知の人は少ないのではないでしょうか。本項では、「不動産売買仲介」に関わる法律について解説します。(リビンマガジンBiz編集部)



(画像=写真AC)


【民法】不動産の所有・売買に関わる所有権


まず、どんな不動産でも誰か持ち主がいますね。その「不動産を所有する」ということを、法律の面から詳しく見てみましょう。不動産の所有は、「民法」の財産権によって認められています。そして、その基となる財産権とは大きく「債権」と「物権」に分かれます。

債権」とは、特定人(債務者)に対して、一定の行為(給付)を請求できる権利です。例えば、自分がした労働に対して給与を請求したり、金融機関に預けていた貯金を出し入れしたりできる権利です。

物権」とは、一定の物(基本的に形のある物)を直接的に支配する権利です。「直接的に支配する」とは、他人の行為を媒介しないという意味です。自分だけが実行できて、他人は実行できないかたちで、その物の利益を受けることができます。

不動産売買をこの二つの権利から見てみるとよく分かります。

売買契約
■売買の目的物の引渡請求権(債権
買主売主
■代金支払い請求権(債権
買主売主
■不動産の所有権(物権
買主売主

このように不動産売買仲介は権利をやり取りするわけですね。

不動産売買仲介には、「債権」「物権」が大きく関わっていることが分かります。


■物権の種類(物権法定主義)

さらに詳しく、権利をみていきましょう。

まず、物権には様々な種類が存在します。不動産を担保にお金を借り入れる、他人が所有する土地の上に建物を建てるといったことをする場合などは、それぞれ異なった物権を行使していることになります。


物権の種類

(画像=リビンマガジンBiz編集部)


・占有権と本権
占有権」とは、適法であるかどうかと無関係に、物を支配する権利です。例えば、ある人が他人の建物を不法占拠している場合も、その人は占有権という物権を有していることになります。なぜこのような権利が存在するのでしょうか。それは、この権利がなければ、だれかが土地や建物を不法占拠者し、この不法占拠者を追い出した者が、今度はその建物を不法占拠するといった行為が繰り返されかねないからです。もしこうなれば、社会の秩序が崩れてしまいますね。このような事態を招かないためにも、法律では事実的に所有(支配)している物に対して、占有権を認めています。


本権」は、「所有権」と「他物権」に分かれています。
所有権は、自分の持っている物に対する物権です。
他物権は、他人の所有物に対する物権です。その物が持つ価値の一部だけを支配する権利です。

他物権はさらに「収益物権」と「担保物権」に分かれています。
収容物権は、他人の土地を使用・収益する権利です(土地に限ります)。
担保物権は、他人の所有物を自身の債権の担保のために利用する権利です。

収益物権には以下の四種があります。
地上権」「永小作権」「地役権」「入会権

担保物権には以下の四種があります。
留置権」「先取特権」「質権」「抵当権


【不動産登記法】不動産がどのように使われているかは不動産登記でわかる




(画像=写真AC)


例えば、Aさんが所有者している土地の上に、Bさんが建物を建てて利用していたとします(Bさんは、土地に対して収益物権の「地上権」を持っています)。その土地を購入したいと考えているCさんがいるとします。

CさんはAさんの土地を購入しようと考えていますが、購入後にBさんからどのような権利を主張されるかが不明瞭なままだと、買うことができません。自分の目的通りに使うことができるかどうかが、わからないからです。あるいは、もしかしたらCさんは、建物をBさんが建てて利用していることを知らないかもしれません。建物を見るだけでは、わからないからです。

そういった際に、その土地や建物にどのような権利があるのかを公示するのが「不動産登記」です。

不動産の取引においては、その安全をまもるために、不動産(土地・建物)について誰が、どういった種類の物権を持っているかを外部に示す必要があります。不動産については登記が公示方法であると、民法が定めています。


【宅地建物取引業法】宅地建物取引士 の業務範囲


宅地建物取引業法(以下:宅建業法)」は、宅地建物の取引を業(仕事)とするものに対して、免許制度によって、その業務に規制を課すというものです。

宅建業法は、1952年8月に施行されました。戦後、大量の住宅が焼失したこと、海外の植民地にいた人たちが帰ってきたことによる人口急増が背景にあります。当時、日本は深刻な住宅不足に陥っていました。高い住宅需要に併せて、不動産の仲介・仲買業者も急増しました。しかし、業者は不動産の知識に乏しく、詐欺や恐喝、履行遅延行為が横行し、取引関係者が損害を被る事態が多発しました。

そういった背景から、戦前より不動産業界にいた業者を中心に、「不動産取引業立法促進連盟」が結成され、宅建業法の立法促進の陳情が行われました。

関連記事:不動産売買仲介の歴史

宅建業法は、「宅地建物取引業」を以下のいずれかの行為を業として行うものと定義しています。
①宅地または建物の「売買または交換」
②宅地または建物の売買、交換または賃借の「代理」
③宅地または建物の売買、交換または賃借の「媒介」



①「売買または交換」
戸建やマンションの分譲業者は「売買または交換」にあたります。

②「代理」
売主や貸主の代理となって、買主・借主と契約する業は「代理」にあたります。

③「媒介」
売主や貸主から、委託を受けて買主・借主を探す業は「媒介」にあたります。


「代理」と「媒介」の違いは?
不動産を売却するとき「媒介」は、売主と買主の間に不動産会社が入り、取引を仲介します。このとき、不動産会社が売主・買主双方と媒介契約をしていた場合、不動産会社は双方から仲介手数料を受け取ります。

一方「代理」は、不動産会社は売主から「代理権」を得て(代理権授与行為といいます)、売主と全く同じ立場になります。買主から見れば、不動産会社が売主のように見えますね。代理人が買主を見つけて契約を締結した場合(代理行為)、原則的に売主は不動産会社に仲介手数料を支払いますが、買主は支払う義務はありません。


まとめ


不動産売買仲介における代表的な法律を紹介しました。しかし、法律はこれだけではありません。

法律は「私法」と「公法」の2つに大別することができます。

私法」とは、個人と個人の私的な生活関係を規律している法律です。
今回取り上げた、「民法」「不動産登記法」のほかにも、「借地借家法」「消費者契約法」といった法律が不動産には存在しています。

公法」は、国や自治体と国民や住民といった構成員との統治関係を規律する法律です。
不動産に関連したものでは「宅建業法」以外にも、「都市計画法」「建築基準法」「景観法」「住宅品質確保促進法」「土壌汚染対策法」「マンション管理適正化法」などがあります。このような法律と、その成り立ちについては別項で紹介します。

不動産は、人々の生活に密接に関わる存在です。不動産関係で働く人が、法律とその目的をきちんと理解することで、取引時などに無用なトラブルを避け、安全な取引を行うために必要なことです。正しく、理解しましょう。

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