2020年11月02日
日経新聞を読まない君たちへ

航空業界がどれくらい大変な状況か解説しておく

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航空業界がどれくらい大変な状況か解説しておく


「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。今回は、何やら大変なことになっている航空業界について、解説します。 (リビンマガジンBiz編集部)


画像=PIXABAY


みなさんこんにちは。日経新聞を読んでいない君たちでも、ANAやJALなど航空会社の経営がヤバイことになっているのはご存知でしょう。コロナで人の移動が減る中、航空機の需要が大幅に減り、今年度は巨額の赤字を計上する見通しになっています。


どれくらいヤバイのか。10月末発表の中間決算で公開された今年度(2020年4月~21年3月まで)の赤字額を見てみます。ANAホールディングスは最終損益が5100億円の赤字、日本航空(JAL)は2400億~2700億円の赤字の見通しです。普通の会社だったら、何回も倒産するレベルの大赤字です。


いきなり赤字の額を見せられてもピンとこないと思いますので、参考までに、過去3年の最終利益を見てみましょう。ANAは、2017年度が1438億円、2018年度が1107億円、2019年度は276億円の黒字でした。JALの方はというと、2017年度が1354億円、2018年度が1508億円、2019年度が534億円の黒字でした。


新型コロナの影響は、今年の1~3月時点ですでに現れていました。その後、4月の緊急事態宣言以降は、国内線・国際線の旅客数が大幅に減ります。JALの資料によると、国内線の旅客数は6月以降は顕著に回復し、10月は前年の50%以上まで回復してきています。Go to トラベルキャンペーンも、需要回復を後押ししているようです。


一方、国際線は10月も前年の10%を下回っているようで(そりゃそうでしょうね)、来年3月まで前年の半分まで戻るかどうかといったところです。JALの国内線旅客収入予想は、2019年度が5440億円だったものが、2020年度は2350億~2650億円程度まで半減する見通し。国際線旅客収入に至っては、2019年度の5130億円から2020年度は400億~750億円で、10分の1以下です。


不動産業会は航空機業界と直接的な関係は薄いかもしれません。しかし、空港周辺の地域は航空会社従業員の住宅ニーズがあります。巨額の赤字にあえぐ航空会社が人材をどうしていくかは気がかりですよね。


今のところ両社とも、人件費を削減する計画は示しているものの、大規模なリストラには手をつけていません。役員報酬のカット、従業員の一時帰休などによる人件費の抑制、グループ外への出向などによってしのぐ計画です。先日も、KDDIがJAL、ANAの両社からの出向受入れを表明しました。ANAの片野坂真哉社長も、決算会見の席で従業員の雇用を守ることを強調していました。


とりあえず、大量リストラは免れましたが、一時帰休や外部出向が長期化すれば、住まいを引き払う可能性もあり、不動産会社としては気がかかりですよね。


それにしても、元々は規模が拮抗しているように見えるANAとJALですが、なぜ赤字見通しの額に2倍近くの開きがあるのでしょうか。大きな要因として、JALは2010年の経営破綻とその後の公的資金注入、経営再建の過程の中で、人件費のカットをはじめとした対策により、比較的身軽な体制をとってきたことがありそうです。


例えば、国際線のネットワーク。ANAは自前で飛行機を飛ばしていますが、JALはコードシェア便(共同運航便)を主軸にしてきました。コードシェア便に乗ったことがある人はわかると思いますが、これは提携する他の航空会社の便をJALが販売するビジネスです。この割合がJALはANAに比べて高くなっています。コードシェア便は販売手数料が入るくらいで、自前で飛行機を飛ばすよりも収入は減りますが、人件費や機材比、海外拠点のコストを抑制することができるんですね。他方、ANAは自前で国際線のネットワークを拡大し、羽田空港の国際線の発着枠なども積極的に獲得してきました(発着枠については、経営再建中のJALよりも優遇されたとの見方もあります)。


ANAは2020年に予定されていた東京五輪・パラリンピックに向けて、積極的に投資をしてきました。それが悲しいことにコロナにより空振りに終わってしまった結果、負担が大きくなっているというわけです。


そうなると、飛行機を飛ばせない今は、コストを抑えてコロナの嵐が去るのを待つしかありません。しかし、大規模リストラは回避したいから、人件費の大幅カットは難しい。ということで、航空機を減らしてコスト削減を進めています。人件費や航空機などの機材費などの固定費を、ANAは今年度1500億円減らす方針です。減らす飛行機の中には、高額な料金を取れるファーストクラスの席を設けられるボーイング777型機などの大型機も含まれています。虎の子の777を早期退役させなければならないほど、ANAは切羽詰まった状態に追い込まれているのです(ちなみにJALの固定費の削減額は1000億円です)。



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