2021年の経済動向スケジュールを紹介

「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。今回は、2021年の経済動向スケジュールを紹介します。 (リビンマガジンBiz編集部)

画像=Pixabay

みなさん、あけましておめでとうございます。2021年はコロナ禍から抜け出して、新しい時代が到来するといいですよね。

さて、みなさん、今年も日経新聞を読まなくても経済を知ったかぶりできるように、今回は2021年の経済のポイントを押さえていこうと思います。

まずは1月。20日にアメリカでバイデン政権が発足します。政策うんぬんについては、大統領選の時にいろいろ触れたので置いておくとして、ここでのポイントは5日に予定されているジョージア州の上院議員2議席の決選投票です。民主党が2議席とれば、上院で事実上、過半数を押さえたのと同じことになります。

民主党は既に下院で過半数を押さえていますので、上院も取れれば、上下両院で民主党が多数派になり、非常に政策を実行しやすくなります。一方、5日の決選投票で民主党が負けて、共和党が議席を確保した場合、下院は民主党、上院は共和党が多数派になり、いわゆる「ねじれ」の状態になります。そうなると、アメリカのバイデン色は後退せざるを得ないことになります。

民主党が上下両院で多数派になれば、大規模な財政政策をして景気を下支えしたり、富裕層を対象に増税したり、といっった政策を実行に移していく可能性が高まります。株式市場にとっては痛し痒しですが、たぶん、増税を悲観的に見る人が多そうなので、あまり歓迎されないでしょう。年明け早々、大きく株式が下がる可能性もあり得ます。

2月は、日本でも新型コロナのワクチンの接種が始まるとみられています。当面は医療従事者、高齢者、持病がある人が対象になりそうです。このワクチン接収がどれくらいの規模・スピードで行われるか、感染拡大を食い止める効果があるのかに注目が集まります。冬の間はどうしてもコロナの感染が広がりやすいので、このワクチンがどれだけ効果を発揮してくれることを期待したいです。

春は飛ばして6月。4年に1度のイラン大統領選挙が行われます。イランの大統領は連続2期までと定められているので、現職のロウハニ大統領は出馬できません。新しい大統領が誕生することになるわけですが、アメリカのバイデン政権との関係性がどうなるかに注目が集まります。2020年にイランとアメリカのトランプ政権はかなり緊張関係が高まりましたが、バイデンはイラン核合意への復帰をほのめかしています。経済政策が解除されて緊張が和らぐでしょうか。

7月のトピックはなんと言っても、東京五輪・パラリンピックの開催でしょう。会期は7月23日空8月8日ですが、さて、本当に開催されるのかどうか。また観客などの受け入れはどうなるのか。日本経済への影響も大きい話題なので、気になるところですが、実際にはコロナでオリンピックのことなんか考える余裕がない人や企業が多そうです。

9月には、菅政権肝いりのデジタル庁が発足します。行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)を一気に加速させるため、民間から100人超の幅広い人材を集めて、500人規模で発足する見通しです。脱ハンコどころじゃない、大きなインパクトを社会に与えることができるでしょうか。

その他のトピックスも見ていきましょう。2021年は中国共産党が100周年を迎えます。新型コロナの影響からいち早く脱した感のある中国は、経済の回復軌道に乗るものとみられています。他方で、アメリカとの対立は粛々と進んでいきます。1月には、アメリカの株式市場に上場する中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の通信大手3社が上場廃止になるなど、経済的なつながりはどんどん薄くなるばかり。バイデン政権はどんな対中政策をとってくるかに注目です。

駆け足になりましたが、2021年の経済のポイントをまとめました。今年はよい1年になりますように。

 
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