アパート経営・マンション経営における利回りの考え方

アパート経営・マンション経営を始めたいと考えてインターネットなどで調べると、必ず目に入るのが物件情報ではないでしょうか。
その情報には、ほぼ100%の確率で「利回り」が表示されているはずです。

この「利回り」はエリアや物件によってかなり幅がありますが、どういった理由からなのでしょう。
利回りの種類や考え方についてご紹介します。

利回りとは

その物件の収益性を考える目安となる「利回り」です。

アパート経営・マンション経営における物件は、それぞれ、価格も年間家賃収入も、戸数も違います。
『物件価格●●円、年間家賃収入●●円』と表記されているだけでは、どの物件が一番効率良く収益を得られるか、比較検討するのは難しいはずです。

この、各々価格や家賃収入の違う物件を、並列で比較検討するために利用されるのが、年間家賃収入を物件価格で割った「利回り」という数値になります。
単純に言えば、この利回りが高ければ高いほど、投資した金額の回収が早いということになります。

利回りの種類

利回りには、大きく分けて2つの計算方法があります。
「表面利回り」と「実質利回り」です。

ここでは『価格1億円(投資価格)、年間家賃収入1000万円、10戸』の物件を例にとって考えてみます。

【表面利回り=年間家賃収入÷投資価格】

これが各情報媒体で最も使用されている、表面利回りの計算式です。
「単純利回り」とも言われ、各物件に発生する諸々の費用やイレギュラーを考慮しない方法です。

例にあてはめると『年間家賃収入÷投資価格=1000万円÷1億円=10%』となります。

【実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷投資価格】

アパート経営・マンション経営には、様々な経費が発生し、その経費はおよそ家賃収入の20~25%だと言われています。
この経費を家賃収入から差し引くことで、表面利回りよりも現実に近い利回りを出すことができます。
それが「実質利回り」と言われています。

例にあてはめると『(年間家賃収入-年間経費)÷投資価格=(1000万円-250万円)÷1億円=7.5%』となります。

利回りの代表的な計算方法をご紹介しました。

「現実に近い方が良いのだから、表面利回りではなく、実質利回りを使えば良いのでは?」という疑問が生じるかもしれません。
ですが、実質利回りで使用する経費の割合は、あくまで仮定の数字です。

物件には各々個性がありますし、経営スタート時と数年後では発生経費は違うことでしょう。
また、管理方法次第でも変わるものです。

各物件を並列で比較検討するのであれば、不確定要素はできるだけ省き、単純化した数値である「表面利回り」を目安とした方がわかりやすいという事です。
よって『表面利回りで第一段階の比較をしてみて、次いで実質利回りを各物件の持つ個性毎に算出してみる』といった使い方が良いのではないでしょうか。

「利回りが高いと儲かる」訳ではない。利回りに潜むリスク

比較するという意味での利回りの使い方は、何となくおわかりいただけたかと思います。
次は、利回りから何を読み解けばよいのか考えましょう。

あくまでも例ですが、物件を多く見比べてみると、以下のような特徴を感じられます。

【利回り:低(6.5~8.0程度)】

人気エリアや新築の物件、または郊外でも駅チカで通勤や生活に便利な新築物件などは、利回りが低くなります。
これは、物件価格が高額であることから、利回りの計算式にあてはめると、家賃との比率が大きくなるためです。

【利回り:中(8.0~10程度)】

人気エリアでも中古物件の場合、また郊外の新築物件などが多く該当する数値です。
価格は8.0未満の物件に比べ下がる傾向にありますが、中古や郊外のため、家賃設定も多少下がっているための比率です。

【利回り:高(10.0~15.0程度)】

人気エリアであっても駅チカでない築年数の古い中古物件、郊外の中古物件などは利回りが高くなります。
家賃低下には限度がありますが、物件に関しては家賃よりも下げ幅が広いため、家賃との比率が小さくなります。

この特徴を見ると、「郊外や中古物件を選べば儲かるのか」ということになりますが、実際にはそんな単純なものでないことはお気づきではないでしょうか。
この利回りの数値別特徴から、更に注意すべき点が浮かび上がってきます。

【注意点① 時間の経過による利回り低下】

物件も歳をとります。
買主にとって、利回りが最高値になるのが購入当初なのです。

今後は、下げることが難しい管理費や、上昇が見込まれる修繕費とのバランスが重要になってきます。
バブル期と違って家賃が上がることはまずないため、『利回りは下がるもの』と考えて計画を立てることが大切です。

【注意点② エリア相場】

利回りの計算の元になっている家賃が、そのエリアの相場に見合っているかを確認する必要があります。
長期の入居者が多い場合、周辺の相場の家賃と差が発生している可能性があるためです。

その場合、この長期入居者が去った後の家賃は、相場に合わせなければ次の入居者が見込めないかもしれません。

【注意点③ 空室リスク】

利回りが高い物件の特徴に、郊外であったり中古であったりという特徴がみられるということは、空室リスクも当然考えなければなりません。

物件情報に掲載されている利回りはあくまで想定です。
利回りは満室を想定して計算するものですから、想定通り満室になるかはわかりません。

満室だったとしても、退居者が発生した場合に、次の入居者が見込めず空室期間が長引く可能性もあれば、家賃設定をかなり下げなければならない可能性もあるのです。

注意点を見ると、人気エリアの新築物件は利回りが低くても入居率は高く、安定した経営ができそうです。
ただし、新築もいずれ中古になるのですから、購入当初から低すぎる利回りは、長期で見ると資金計画に見合わない可能性もあります。

一方で、利回りの高い物件は満室であれば充実したキャッシュフローを見込めますが、中古なら高額な修繕費のリスクも持ち合わせていますし、空室リスクを排除するにはリフォームなどの工夫が必要かもしれません。

このように、利回りの数値からは、様々なシミュレーションができます。
今は投資用物件の情報が様々な媒体で確認することができますが、同時にその周辺の賃貸需要や家賃相場、土地開発計画も調べることができる時代です。
利回りは、具体的なシミュレーションをするための大切な要素のひとつだと捉え、冷静に見極めるための勉強と経験を積んでいきたいですね。

アパート経営・マンション経営の利益率はどれくらいか」も合わせてご参照ください。